筋肉痛があるときに筋トレしても大丈夫?DOMSと休養の科学的な考え方

筋トレ初めての方

こんにちは!パーソナルトレーナーの岡本颯です。筋トレ初心者の皆さんから、「筋肉痛のときに筋トレを続けても大丈夫ですか?」という質問をよくいただきます。筋肉痛(特に遅発性筋肉痛: DOMS)の仕組みや、筋肉痛がある日のトレーニング可否について、賛否両論の意見も交えながら分かりやすく解説します。

筋肉痛(DOMS)ってなに?

筋肉痛の多くはDOMS(遅発性筋肉痛)と呼ばれるものです。トレーニングで筋繊維に微細な損傷が起こり、修復の過程で炎症反応が生じることで痛みや張りを感じます 。運動直後よりも1〜2日後に痛みが強く出るのが特徴で、通常は3〜5日ほどで回復していきます 。この遅れて出てくる痛みが遅発性筋肉痛(DOMS)です。

  • 筋肉痛が起きるメカニズム: 運動(特にエキセントリック収縮=筋肉が伸びながら力を出す動き)によって筋肉の細胞にごく小さな傷が入る
  • 炎症反応: 損傷を修復しようと免疫細胞が集まり、炎症性の物質が放出されることで神経が刺激され痛みを感じる
  • 遅れて痛みが出る理由: 免疫反応や炎症物質の処理に時間がかかるため、運動後すぐではなく24〜72時間後に痛みのピークが訪れる  

筋肉痛自体はトレーニングの効果が出ているサインとも言えます。筋肉をしっかり使うと「筋繊維が裂ける → 修復される → 以前より強い筋肉になる」という流れで成長するため、適度な筋肉痛は筋肉が強くなる過程の一部です 。一方で、筋肉痛の有無と筋トレ効果は必ずしも比例しません。同じ運動を繰り返すと体が慣れて筋肉痛は起こりにくくなっていきます 。つまり、筋肉痛にならなくてもトレーニング効果が出ていないわけではないので、痛みだけで成果を判断しないようにしましょう。

筋肉痛がある日に筋トレしてもいい?

結論から言うと、軽い筋肉痛なら様子を見ながら軽めに動かしてOKですが、強い筋肉痛なら同じ部位の筋トレは避けたほうが無難です 。筋肉痛の程度によって対応を変えましょう。

  • 軽い筋肉痛ならOK: 多少筋肉に張りを感じる程度の軽い筋肉痛であれば、むしろ軽く体を動かしたほうが回復にプラスになります。軽いウォーキングやストレッチなどの低強度の運動は筋肉への血流を促し、疲労物質の除去を早めるため筋肉痛の緩和に役立ちます 。実際に、軽い有酸素運動は筋肉の回復を助ける効果があるとされています 。痛みが和らぐ範囲で身体を動かし、筋肉をほぐすようにしましょう。

  • 強い筋肉痛ならNG: 階段の上り下りもつらい、患部を押すと激痛が走るなどの強い筋肉痛がある場合、その痛む部位を追い込むトレーニングは避けてください。筋肉痛が残っている間は筋繊維の修復がまだ完了していません。無理に同じ筋肉を鍛えると、筋肉が十分回復する前に再び損傷してしまい、疲労が蓄積してパフォーマンスも向上せず逆効果になる可能性があります 。また、痛みがある状態では痛みで全力を出せず集中力も欠け、関節の可動域も狭くなるためフォームが乱れてケガのリスクも高まります 。実際、筋肉痛のときに無理な筋トレを続けることはオーバートレーニングや怪我につながりかねません 。こうした理由から、痛みが強い部位はしっかり休ませることが大切です。

私自身、筋肉痛が残る状態で同じ部位を無理に追い込むことはおすすめしません。痛みに意識が向いてしまい、どうしてもフォームが崩れやすくなると感じるからです。筋肉痛のときは「休む勇気」も持って、安全第一でトレーニングを行いましょう。

反対意見:筋肉痛でもトレーニングを続けるべきという説も?

筋肉痛の日の筋トレについては、一部に**「筋肉痛でも気にせずトレーニングを続けても問題ない」という意見**も存在します。実際、科学的な研究でも興味深い結果が報告されています。筋肉痛がピークの状態で同じ筋肉に再度負荷をかけても、痛みが悪化せず筋損傷の回復も著しく妨げられなかったという実験結果があります 。この研究では、筋トレ未経験者の腕にエキセントリック運動(筋肉を伸ばしながらのダンベル運動)を行い、筋肉痛が残った状態で再度同じ運動をさせました。その結果、運動直後に痛みがむしろ軽減し、複数回の運動を重ねても筋肉痛が酷くならなかったのです 。

また、筋トレ上級者の中には筋肉痛をあえて気にせず高頻度で鍛えるケースもあります。例えばトレーニング歴が長い人は、身体が適応して多少の筋肉痛でもパフォーマンスを維持できることがあります。前述の通り、繰り返しトレーニングを行うことで筋肉痛が出にくくなる適応現象(Repeated-Bout Effect)が生じます 。そのため上級者は筋肉痛が残っていても軽度であればトレーニングを継続し、筋肉を慣らしていく戦略を取ることもあります。

しかし、これらは例外的なケースと考えましょう。研究で「筋肉痛でも悪影響はない」と示されたのは一部の条件下であり、誰にでも当てはまるとは限りません 。上級者は長年の経験と自己管理によって無理のない範囲を見極めています。一方、初心者の場合は筋肉や腱・関節がまだ十分に強化されておらず、痛みを無視して続けるとケガやオーバートレーニングに陥るリスクが高いです 。ですから、筋肉痛のときは基本的にしっかり休養を取るのが安全策と言えるでしょう。

筋肉の成長には休養が必須 ~超回復(スーパーコンペンセーション)~

筋肉を大きく強くしていくためには、トレーニング後の休養が不可欠です。筋肉は「鍛える → 修復する → 以前より強くなる」というステップで成長します。この仕組みを**「超回復(スーパーコンペンセーション)」**と呼びます 。強度の高い筋トレで損傷した筋肉は、休息と栄養補給によって修復され、元のレベルを超えて筋力・筋肥大が増すのです。

しかし超回復が起こるには一定の時間が必要です。一般的に筋肉の修復には48〜72時間(約2〜3日)ほどかかるとされています 。筋肉痛が治まるまでの時間とほぼ一致しており、この期間を目安に同じ部位のトレーニング再開タイミングを判断できます 。特に初心者のうちは回復に時間がかかりやすいため、同じ筋群は2〜3日程度空けてから鍛えるのが理想です 。筋肉痛が残っているということは、まだ十分に超回復が完了していないサインとも言えます。焦って連日同じ部位を追い込むより、休むことでかえって筋力向上につながるのです。

実際、私自身しっかり休養を取った後はトレーニングパフォーマンスが向上し、扱える重量や回数が増えてた経験があります。

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実践アドバイス:筋肉痛と上手に付き合う方法

筋肉痛の程度に応じて、無理のないトレーニング計画を立てることが大切です

。以下に筋肉痛の強さ別に具体的な対処法をまとめます。

  • 軽い筋肉痛の場合: 身体を動かした途端に痛みが走るほどではなく、筋肉に軽い張りや違和感を感じる程度なら、積極的に体を動かしてみましょう。ストレッチやヨガ、軽いジョギングやウォーキングなどの軽度の有酸素運動がおすすめです。軽い運動は血行を促進し、筋肉に溜まった疲労物質の除去を助けるため回復を早める効果があります 。無理のない範囲で体を温めるように動かし、筋肉痛を和らげていきましょう。
  • 中程度の筋肉痛の場合: 筋肉痛は感じるものの日常動作に大きな支障はない“中くらい”の痛みならば、筋肉痛の部位は避けて他の部位を鍛えるのが賢明です。例えば「腕が筋肉痛なら足を鍛える」「胸が痛いなら背中や肩を鍛える」など、痛む箇所を休ませつつ別の筋群をトレーニングしましょう 。これにより休養と運動を両立できます。同じ部位にさらなる負荷をかけないようにしつつ、全身をバランスよく鍛えるチャンスと考えてください。
  • 強い筋肉痛の場合: 筋肉痛が強く、動かすと鋭い痛みがあるような場合は、思い切って完全休養日にすることをおすすめします。無理にトレーニングを続けても逆効果ですし 、身体が発する「休んで」というサインだと割り切りましょう。休養日には睡眠をしっかり取り、タンパク質中心に栄養バランスの良い食事を心がけてください。質の高い睡眠と十分な栄養摂取は筋肉の修復を促し、超回復の効果を高めます。また、入浴で体を温めることも血行促進に有効です。湯船にゆっくり浸かってリラックスし、身体の回復に専念しましょう。

以上のように、筋肉痛の程度に合わせてトレーニング内容や休養を調節することが大切です。**「今日は無理せず軽めにする」「今日は別の部位に変える」「今日は完全オフにする」**といった判断を習慣づけ、体と対話しながら進めてみてください。

まとめ

  • 筋肉痛の正体は「DOMS(遅発性筋肉痛)」。筋繊維の微細損傷と修復時の炎症によって生じ、運動の翌日〜翌々日にピークが来る痛みです  。
  • 軽い筋肉痛なら軽い運動OK。 軽度の筋肉痛であればストレッチや軽い有酸素運動で体をほぐすと血行が良くなり、かえって回復を促します 。
  • 強い筋肉痛なら無理せず休息を。 激しい痛みがある部位をさらに追い込むのは逆効果です 。フォーム崩れやケガのリスクもあるため 、痛む筋肉はしっかり休めましょう。他の部位を鍛えるのも一つの手段です 。
  • 超回復のために休養もトレーニングの一部と考える。 筋肉はトレーニングとトレーニングの間の休養期間に成長します 。特に初心者は同じ部位を毎日鍛えず、2〜3日は間隔を空けて超回復を待つことが大事です 。休むことで次回のパフォーマンス向上(扱える重量アップなど)につながります。

初心者のうちは筋肉痛に振り回されがちですが、筋肉痛とうまく付き合いながら継続することが何よりも大切です。トレーニングを重ねるうちに体も慣れて筋肉痛は徐々に軽減していきます(これは体が成長し適応している証拠でもあります)。筋肉痛があっても焦らず、必要なときは休み、長い目でコツコツとトレーニングを続けていきましょう!無理のない計画で**「休む勇気」と「続ける意志」**を持ちながら、理想の体づくりに取り組んでくださいね。💪✨

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